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翌朝の登校時、オレは「学校が終わったら、一緒に公園で遊ばないか?」とサヤを誘った。
サヤはモジモジしながらうなずいた。内心はうれしいのだろう。これが今のサヤにとって精一杯の感情表現なのだ。 サヤを学校まで送り届けた後、奥さまに報告の電話をするついでに、サヤを遊びに連れ出しても構わないかうかがいを立てた。奥さまは二つ返事でオーケーした。鍵っ子のサヤは共稼ぎの両親が帰ってくるまで一人きりなのだ。オレの申し出は渡りに船だったのだろう。 放課後になると、サヤを連れて近所の公園に行った。昔はゴルフ場だった広大な緑地公園だ。今の季節は若い芝生のきみどり色が鮮やかだった。 公園の入り口でレイナと合流した。サヤとレイナは初対面だ。 レイナはいきなり「キャー! カワイイ!」とサヤに抱きついた。サヤは面食らい、一本の棒のようになって目を丸くした。そんなことにはおかまいなしにレイナはサヤの頬をなではじめた。 「ほんとお人形さんみたいにカワイイ! それにお肌もスベスベ! うらやましい!」 「おい、レイナ。サヤがひいてるじゃねーか」 オレは見かねて口を出した。 「ごめんね。あんまりにもカワイイもんだから。わたしはレイナ、よろしくね」 レイナはニッコリと笑った。サヤは助けを求めるようにオレを見上げた。 「サヤも自己紹介しな」 サヤはコクンとうなずいた。 「・・・サヤです」 「サヤちゃん、よろしくね。行こう!」 レイナはサヤの手を取って歩き出した。サヤはすっかりレイナのペースに巻き込まれているようだった。サヤはあれくらい強引に連れまわしたほうがいいのかもしれないな、とオレは二人の後ろ姿を見ながら思った。とてもオレには真似できないが・・・。さすがにレイナはスゲーな。
by zyoh
| 2005-07-10 06:08
| 笑顔をなくした天使
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