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小学校に着くまで、ポツポツとだがサヤと話すことができた。オレが質問してサヤが短い言葉で答える。一問一答のような会話だったが、それでもオレはうれしかった。
まるでなにかのリハビリみたいだな、とふと思ったが、実際にサヤにとっては心のドアを開くためのリハビリのようなものなのかもしれない。 オレは注意してサヤの両親の話題だけは避けた。ミホさんが話していたように、もし本当にサヤが両親のW不倫に気づいているのだとしたら、そのことを思い出させたくなかったのだ。 小学校の正門の前には今朝もミホさんの姿があった。何十分か前に電車の中で抱き合ったミホさんの肉体の感触が蘇り、体の奥底が疼いた。 ミホさんはオレとサヤが会話していることに気づくと、奇跡を目撃したかのような表情で呆然とこっちを見ていた。 「ミホさん、おはようございます」 オレが挨拶すると、ようやくミホさんは我に返ったようだった。 「・・・・おはようございます、ジョーさん。今、サヤちゃんと話してましたよね?」 「ええ。ここまで、ずっと話しながらきたんです」 オレが力強くうなずくと、ミホさんの顔がパァーッと輝いた。そしてミホさんはサヤの前にしゃがんだ。 「サヤちゃん、おはよう。ジョーお兄ちゃんとおしゃべりしてきたんだってね。楽しかった?」 サヤはモジモジと体を揺すりながら、恥ずかしそうにうなずいた。 「そう! 良かったねー!」 ミホさんは泣き笑いのような表情でサヤの頭をなでた。 オレは天にも昇る気持ちだった。体中にエネルギーが満ち満ちてきて、今なら月まで飛んでいけそうだぜ。くそったれ!
by zyoh
| 2005-06-30 01:14
| 笑顔をなくした天使
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